在留外国人は、在留期間中、在留資格の範囲内で就労等が認められています。従って、外国人を雇用する場合は、従事させようとする仕事の内容が在留資格の範囲内の活動か、在留期間を過ぎていないかを確認する必要があります。
在留資格や在留期間は、在留カード、パスポートの上陸許可証印等で確認できます。ただし、具体的にどのような活動が認められているかの判断はしづらいため、外国人からの申請により法務大臣が発給する「就労資格証明書」による確認が安心できる手段です。
<在留資格別の就労範囲>
●就労ビザ(「技術」、「人文知識・国際業務」、「技能」など)
☞認められた範囲内で就労が可能です。
●永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者
☞日本人と同様に、どんな仕事にも就くことができます。
<就労資格証明書>
就労資格証明書は、在留外国人からの申請に基づいて、その外国人の方が行うことができる就労活動を法務大臣が証明する文書です。特に、外国人の方が転職する際には「就労資格証明書」を得ることが望ましいです。
例えば、A社からB社に転職する場合、現在の在留資格はA社で勤務することを前提に許可されたものです。B社で勤務することを前提に許可されたものではないため、B社で従事する業務が在留資格に含まれることを入国管理局に確認してもらうのが「就労資格証明書」です。
※ 雇用する側の注意事項
(不法就労の例)
・在留資格の更新を忘れて、在留期限が切れていた場合
・資格外活動の許可をとらずにアルバイトをしている場合
・留学生が、所定の就労可能時間を超えてアルバイトをしている場合
・就労ビザを持つ外国人が単純労働しかしていない場合 など
<大学留学生を社員として雇用する場合>
●従事する業務の専門性
外国人の方が従事する業務には、「専門性」が必要となります。単純労働や一般事務のような専門的知識や技術を必要としない業務で外国人を雇用することは原則できません。
●在留資格の変更
内定後、入社までに在留資格の変更が必要です。
留学生と会社の両方が審査されます。
(審査のポイント)
*留学生
学歴、専攻科目と従事する業務との関連性、日本人と同等の報酬かどうか等
*会社
事業の内容、安定性・継続性、外国人を雇用する必要性など
もし、入社予定日までに在留資格の許可がでないときは、入社日を延期する必要があります。
●通訳や翻訳業務
通訳や翻訳の仕事は、「国際業務」の基準で審査され、原則3年以上の実務経験が必要ですが、大学や短大を卒業していれば、専攻(学部)を問わず、通訳・翻訳の仕事に従事できます。専門学校卒業で「専門士」の場合は、通訳・翻訳を学んでいなければ、3年以上の実務経験が必要です。
<専門学校の留学生を社員として雇用する場合>
専門学校を卒業して「専門士」の称号を付与されても、就労の在留資格が許可されるとは限りません。「技術」や「人文知識・国際業務」等の可能性ある分野を専攻している必要があります。
(可能性のある分野)
・建築、自動車整備、情報処理など
・経理・簿記、会計、総合ビジネス、観光など
・通訳・ガイドなど
・ファッションデザインなど
・看護、歯科衛生、理学療法など
(可能性がない分野 ⇒該当する在留資格がないため)
・理容・美容、メイク、エステティックなど
・製菓、調理、栄養など
・保育、介護福祉など
・家政、和洋裁など
・歯科技工士、マッサージ指圧師など
<留学生をアルバイトとして雇う場合>
留学生は、資格外活動許可を受けることで、アルバイトを行うこ とができます。資格外活動許可を受けているかどうかは、パスポートの許可証印または「資格外活動許可書」で確認できます。
労働時間は、1週28時間以内(夏休み等の長期休業期間中は、1日8時間以内)です。なお、風俗関係のお店等で働くことは禁止されています。
*大学の中退者
「人文知識・国際業務」、「技術」などの在留資格は、大学等の卒業証書がなければ許可されておりませんので、社員としての雇用はできません。
資格外活動としてのアルバイトも大学等に在籍中に限り許可されております。
*卒業までに就職が決まらなかったとき
留学生が卒業後も日本で就職活動を続けたい場合は、在留資格の変更が必要です。
在留資格を「留学」から「特定活動」に変更することで、卒業後も就職活動が可能です。「特定活動」の許可の期間は6ヵ月で、1回だけ更新できますので、最大1年間日本に滞在して就職活動ができます。
*就職活動のための「特定活動」は留学生のみが利用できます。
<対象>
・大学を卒業した留学生
・専門士の称号を取得した専門学校の卒業生
<必要なもの>
・卒業証書
・大学や専門学校からの継続就職活動についての推薦状
・就職活動をしていることを証明できる資料
・在留中の経費支弁能力を証明する文書 など
*専門士の場合
大学卒業者の場合は、卒業後に一旦帰国してからも「在留資格認定証明書」を申請して、就労の在留資格を得ることが可能です。
しかし、専門士の場合は、一度帰国すると、専門士の卒業証明書での在留資格認定証明書の申請ができないため、日本での就職を希望する場合は、卒業後に帰国することなく、在留資格変更手続きを行うことが必要です。